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ISCHEMIA試験の結果の解釈

[2020.08.31]

こんにちは。もうすぐ8月も終わりで9月ですね。
ことしも暑い夏でしたが、9月以降すずしくなってきたらいいですね。

さて今回取り上げる医学記事は今年のNEJM誌の記事になります。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/nejmoa1915922

◆虚血性心疾患とは?
心臓を栄養する冠動脈という血管があります。
これが動脈硬化などで細くなる病態を虚血性心疾患といいます。
従来軽度の虚血性心疾患では危険因子の是正として、高血圧、喫煙、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病があればそれらの危険因子の是正を行い、重症であれば薬物療法に加えて、細くなった血管にステントを留置したり(経皮的冠動脈ステント留置術)、血管の迂回路を手術で作成(冠動脈バイパス術)しておりました。

◆虚血性心疾患の患者さんの管理に関しての研究◆

今回の研究では中等症や重症の虚血性心疾患の患者さんに対して

A.侵襲的対応 2588人
(血管造影後に積極的に経皮的冠動脈ステント留置or冠動脈バイパス術を行い薬物療法も行う

B.保存的対応,2591人
(まず薬物療法を行い薬物療法が無効な際に血管造影を行い必要に応じて血行再建術を行う)


と2グループ分けを行い両群の心臓病の発生率(心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症、心不全による入院、心停止)を比較しました。

患者さんの平均年齢は64歳で男性77% 女性23%と男性の参加者がやや多い試験となりました。調査追跡機関の中央値は3.2年間でした。

試験期間中での主要評価項目で有る心臓病の発生率(心血管死、心筋梗塞、不安定狭心症、心不全による入院、心停止)は侵襲的対応群と保存的対応群では有意差はありませんでした。

主な副次アウトカムの結果からは保存的対応群の方がやや心筋梗塞などが多いものの統計学的な有意差は認めませんでした。


今回の結果を見ると、表面的にはいかに非侵襲的な薬物療法の大切であるかを感じる半面,追跡期間をもっと長く追跡期間を長く設定すれば有意差も出るのかもしれないというやや解釈の難しい結果となりました。

いずれにせよ侵襲的治療をせずに薬物療法で様子を見ている虚血性心疾患の患者さんだけでなく、カテーテル治療やバイパス手術などの侵襲的治療を受けた虚血性心疾患の方もきっちり薬物療法を受けることが大切であることには今回の結果からは間違いないのではと思います。


今日も読んで頂きありがとうございました。それでは次回はまた10月ごろに違う話題を出せればいいなと思います。

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