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糖尿病患者さんが災害に備えてやっておくべきこと

[2020.10.08]

こんにちは。

光明池で糖尿病専門医をしている副院長の丸山康典です。

この週末台風の接近が勧告されております。
天災は忘れた頃にやってくる。自然災害はいつどこで起きるかわかりません。

持病がある方ならどなたでも、避難するときには定期薬を持っていく必要がありますが、糖尿病患者さん、中でもインスリン注射をしている方は注射が不足してしまったり、生活様式が変化したりすることで大きく体調を崩してしまう恐れがあります。

今回は、災害時に備えてどんな準備をしておく必要があるか、避難所生活を送る際にはどんなことに注意が必要かについてまとめていきたいと思います。


■持ち出し用の非常用セット■

災害時は、あわててしまい、冷静な判断をするのが難しくなります。
そのため、普段から非常用の持ち出しセットを準備しておくとよいでしょう。

過去の災害では、糖尿病治療薬特にSU薬などの経口血糖降下薬、およびインスリン治療中の患者さんは、薬が不足し、高血糖になってしまうから食事を食べられないという非常事態に直面した、という報告があります。

その教訓をふまえて、「非常用持ち出し品」として準備しておきたいものをまとめました。

優先度をA⇒B⇒Cに分類します

<A:絶対必要>
・飲料水 ・非常食(飲料水や非常食が無いと命にかかわります)

・常備薬 1-2週間分  お薬手帳や薬剤情報

・インスリン、注射針

・血糖測定器、センサー、穿刺器具

・マスク(最近値段が下がってきましたね!)

<B:あれば便利、買っておいた方が良い>
・ライト

・使い捨てのはしとスプーン

・連絡先リスト ・保険証

<C:もし家にあれば持って行ったほうが良い>
・モバイルバッテリー 

インスリンの未使用品は「冷蔵庫で保存」とされているのですがもちろん避難リュックは冷蔵庫には入れられません...

ただヒューマログミリオペン、インスリングラルギン等は共に未開封30℃で28日間は安定であることが確認されているため、避難用リュックに「インスリン・針・血糖測定器・薬」と書いたものを張っておき、使用中のインスリンセット、血糖測定器と冷蔵庫の予備を持って避難するのが現実的です。


■避難所での食事■


被災地では流通やライフラインの途絶により、食事が不規則になります。
食事支援として届くものは、インスタント食品、おにぎり、菓子パンなど糖質が多いものに偏りがちで、タンパク質、野菜を食べる機会が少なくなります。
食事内容に加えて、配給は1日2食(10時と16時頃など)の支給となる場合が多いため、食後の高血糖や食事配給間の時間が長いことから低血糖が起こりやすいといわれています。
また食事供給に対する不安の心理からから、「エネルギー過剰と分かっていても、全量を食べてしまう」場合もあり、血糖コントロールが悪化しやすい状況となります。

■避難所の生活環境■ 

避難所では水の配給が十分でないことがあります。トイレの心配から水分をとることを控えがちになる方が多いですが、これは危険です。
高血糖になると尿中に糖がでてしまい、糖と水が一緒に尿に流出してしまい脱水になります。脱水は特に高齢の方では高血糖高浸透圧症候群という危険な状態を起こすリスクが上がります。
重いので大変ですがやはりペットボトル飲料水を常備しておくのは大切ですね。

ちなみにペットボトル飲料水は災害前は筋トレのダンベル代わりにも使えます...


■運動について■ 

避難所生活ではあまり動かない事が多い事からか静脈に血栓ができて肺の血管が詰まる「エコノミークラス症候群」を起こしやすくなります。
避難中も屈伸運動、ストレッチ、などをして、体を動かす習慣を維持しましょう。


■お薬について■


食事内容や生活強度が変わるため、お薬に関しても注意が必要です。
食事間隔があく場合、薬が効きすぎると低血糖を起こすことがあります。高齢の方などでSU薬と呼ばれるアマリール(グリメピリド)などを内服している方は、通常の半分以下に減量しておく方が安全です。
また、メトグルコは脱水時に重篤な副作用が起きることがあるため、注意が必要です。
SGLT-2阻害薬という尿中に糖を捨てる薬(当院ではスーグラ)も脱水を誘発する危険があるため、食事や飲水が安定しない環境では他の薬剤への変更が望ましいでしょう。

もし通院中の病院やクリニックが電話可能なら主治医と電話で連絡を取り薬剤について相談するのが好ましいでしょう。

今回災害前の準備について記事を書かせていただきました。

長くなってしまいましたが読んでいただきありがとうございました。

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