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糖尿病のプロである我々が考えていること「stigma」について

[2021.10.23]

こんにちは。副院長の丸山 康典です。

来月は糖尿病デーですね。

最近糖尿病のstigmaとアドボカシーについて話題になることが多くなりました。

 

直訳すると「烙印」と言い換えられます。

糖尿病への烙印とは、「糖尿病=だらしない」とか、「糖尿病=失明、下肢切断、透析、心筋梗塞」になると“決めつけられる”見方をされること

です。

 

2型糖尿病の発症には遺伝や社会環境がその原因となっていることも多く、必ずしも患者さんが悪くて発症したわけではなく、このことを多くの人が知っておいた方が良いとは思います。

 

ですが、

「糖尿病であることを職場に知られたら解雇されるから、診断書に糖尿病と書かないでほしい」

「生命保険に入る前に糖尿病と診断されると困る」

というように話される患者様も多くいらっしゃいます。

さらに

「糖尿病の薬が始まると、飲んでいる薬で家族に糖尿病と知られてしまうからどれだけ悪くなってもできるだけ糖尿病の薬を出さないでほしい」

とまで話される方もいらっしゃいます。

 

糖尿病の合併症で失明や腎不全の進行を防ぐために必要な治療が「糖尿病=だらしない」という社会の目のせいで遅れてしまう

 

これが問題となっております。

 

以前『ケーキの切れない非行少年たち』という本を読みました。読まれた方も多いかと思います。

 

本書に書かれていることを簡単に説明すると「人間の先天的な能力は個々人で大きな差があり、その差によって社会生活や学校生活で苦労したり、時には凶悪犯罪に手を染めてしまったりする人もいる。そして、そのことはあまり知られていない。皆が平等な能力を持っているかのような前提で進んでいる世の中を、もっと変えていかなければならない」という内容です。

 

この本のケーキの切れないとは紙に書かれた丸いホールケーキを

1/3ずつに切れないという意味です。

凶悪犯罪に手を染めてしまった非行少年の中にはあたりまえに我々が出来ることが何らかの先天的な脳の異常でできなくなっている可能性があるということです。

 

ケーキの三等分に限らず、図形を真似して描くことができなかったり、他人の言っていることがわからなかったりします。感情に支配されやすく、自分ではコントロールできない少年たちもいます。

 

著者はこの違いは「本人の努力等では無く脳の先天的な差によるものではないか」と本書にて述べられています。

研究段階のことも多いはずなので、この本に書いてあることが全てだとは思いませんが、このような視点は持っておいても良いのではないでしょうか?

 

さて、糖尿病についても、似たような問題が起きています。

 

周囲の方や本人は努力不足で糖尿病になったと思っている半面、実際は遺伝や社会環境がその原因となっていることも多かったりします。

その点で糖尿病にかかった方や糖尿病と接する家族や医療者が間違った認識を持ってしまっている事が問題となっています。

 

「スティグマ」という間違った認識が行うべき必要かつ有益なはずの治療の開始を遅らせている、そのために「スティグマ」を解消していかなくはいけないと現時点で私たち糖尿病のプロは考えております。

 

今日も長くなってしまいました。読んでいただいてありがとうございます。

 

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