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新型コロナウイルスについて2020年7月時点でのまとめ

[2020.07.17]

こんにちは。
副院長の丸山康典です。
さて、今日の記事は新型コロナウイルス(covid-19)に関してJAMAがreviewを出していたのでその解説をしようと思います。2020年7月時点までの正式に論文発表されたエビデンスをまとめたものです
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768391

JAMA:有名な医学雑誌。世界4大医学雑誌とは「lancet」「NEJM」「JAMA」「BMJ」です。
review:先行研究を集めて、論文にまとめたものを指します。総説論文は原著論文のように新しくオリジナル性のある研究内容ではなく、特定のテーマに関する先行研究をまとめて、概要を記述したり、研究の動向などを発表したりするもの


<1.ウイルスの感染機構>
・最初は、SARS-CoV-2は鼻腔・気管上皮・肺細胞などにくっつこうとする

→具体的には、ウイルスのSスパイク蛋白がヒトのACE2受容体に結合する

→TMPRSS2という(ヒトの)プロテアーゼによりS蛋白が活性化、ウイルスが侵入する

この理由から、ACE2受容体の発現を増加させるACE阻害薬の使用によりコロナウイルス感染リスクが高まるのでは??と言われていたが、大規模コホート研究より否定されました

ACE阻害薬とARBの内服を辞める必要はありません(この記事参照 https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa2007621)。


<2.病気の発症>
・T細胞に感染して死滅させることで、リンパ球減少をきたしうる
→全身炎症をきたすとリンパ球のアポトーシスを助長、さらにリンパ球減少を助長する


・内皮のバリア機能が廃絶、間質にマクロファージや好中球が浸潤
→間質性肺炎、CTですりガラス陰影となります

→結果、

・肺の毛細血管が機能低下し(酸素運搬ができなくなり)、酸素化が悪くなる
・内皮細胞の血栓予防効果が低下、全身に血栓を生じる


<3.感染経路>
・一番高頻度なのは飛沫感染
…話、咳、くしゃみでface-to-faceに感染します

→具体的なリスクは、
・無症候性感染者からは、6フィート(約2m)の距離で15分以上
・症候性患者からはより少ない暴露でも(咳だけなど)
48-62%の感染が、無症候(か発症前)の感染者からだと推定されています

・上気道でのウイルス量は症状発症時点でほぼピークに達する

・症状発症2-3日前から人に感染させうる。これがコロナが大流行している大きな原因。

Q.ウイルスが付着しているものを触ることでも感染しうるか?

A.特にステンレスやプラスチックの上でウイルスが長い時間安定して感染力を保つとの報告があるが、48-72時間の間に急速にウイルス量が減るとの報告もあります。

→理論上はドアノブや服からの感染もありうるが、実際ほとんどの感染はface-to-faceだろうと考えられています。


Qエアロゾル感染は?
A.エアロゾル感染が非医療従事者の日常生活の範囲内でどれくらいの意味を持つかは不明。
また飛沫核を介した空気感染についても証明はされていませんが、最近WHOが「空気感染も否定できないから密集・密閉を避けよ」という声明をだしましたので、何らかのデータが今後出てくるのかもしれません。

 


<4.患者の感染力の持続時間>
症状発症後8日で、ウイルス培養はほとんどの方で陰性となる
…発症後5日以降の患者と接しても感染しないことが示されている
→これを根拠に、症状消失というのが一つの退院基準となっている。
(ただCDCは発症10日間、症状改善後3日間の隔離を推奨しています)


<5.臨床的特徴>
潜伏期間はおそらく2-7日。発症するなら、長くても11.5日以内に発症する。
頻度の高い症状は以下の通り:
・発熱:患者の90%以上
・乾性咳嗽:60-86%
・呼吸困難感:53-80%
・倦怠感38%
・消化器症状:15-39%
・筋肉痛:15-44%


<6.診断>
スタンダードは鼻の奥から採取した検体を用いたRT-PCRだが、偽陰性(本当は感染しているのに陰性となる)の確立が高いため、その他の臨床情報を用いる

★RT-PCR
特異度は高い。
感度が低い。
…暴露後4日では33%、症状出現時には62%、症状出現後3日では80%との報告
つまり症状出現すぐにPCR検査をしても3人に1人以上は見逃すと 考えられます。

★抗体
IgGは感染後14日くらいに検知可能となる
重症な感染ほど、抗体の力価は高い
様々な検査法があるが、その検査能はばらつきがある
なお抗体があるからといって、感染に対し免疫があるとはいえない
→2回目の感染のについては、今の所詳細不明です(抗体との関連性も含めて不明)

★血液検査
リンパ球減少は多く、入院患者の83%に認められる。

★画像所見
特徴的なCT所見は、びまん性・末梢性のすりガラス陰影。
発症早期では、CTで15%、Xpで40%程度の患者で所見なしとなる。
→CTもレントゲンも未確定の発症早期に撮影する意義は低く、見逃しの原因ともなるうる

CT初見も特異的でなく、診断能力は低い
感度は高い(コロナ患者なら異常所見があるとはある程度言える)としても、診断にはあまり役に立ちません。

ここで言う診断とは、「その肺炎がコロナなのか」という診断を指します。



<7.根本治療薬>
理論的に、抗ウイルス薬は感染初期に、免疫調整薬は入院患者に、抗凝固薬は血栓塞栓系のイベント予防に効果があると考えられる。


・(ヒドロキシ)クロロキン(+アジスロマイシン)の有効性は証明されていない

トランプが飲んでたやつですね

・レムデシビルは治療期間の短縮化に効果があることが証明された。

→死亡率などへの影響は調査中。

・なお アビガン(ファビピラビル)は現時点では有効性を認められない研究結果が出ています。

・炎症調節薬(モノクローナル抗体)の治療効果も期待されており、RCTがたくさん走っている。

・ステロイドについては、COVID-19についてはデキサメタゾン6mgの連日投与で28日間の死亡率を下げるというRCTが報告された。
→特に有効なのは症状が7日以上持続している人、挿管管理を要する人。

COVID-19がARDSの中でも例外的にステロイドが効果的なのかは、さらなる研究が必要。

・血栓予防のため、低分子ヘパリンが入院患者に推奨される


内容としては以上のようになります。

なおこの記事は2020年7月時点で判明していることであり、それ以降に発表された論文などによって覆される可能性もあることを申し添えておきます。

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