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間質性肺疾患の診断に関して②

[2019.04.24]

さてこんにちは。間質性肺疾患に話題ですね。研究の背景には普及が進むクライオバイオプシーがあります。
 間質性肺疾患の診断は難しく、胸部高分解能CTにおいて典型的な画像所見を呈さないことが多く、血液検査のみで確定診断を得るのは困難であり、気管支鏡検査を行っても検体が小さいため診断が付きにくいからです。
特に慢性線維性の間質性肺疾患に対しては、長らく外科的肺生検がその診断の中心でありました。

 外科的肺生検とは、全身麻酔をかけて肺組織を外科的に採取することです。
非常に侵襲的であり、診断の目的のためだけに受ける検査としては、合併症がある患者や高齢者にとってハードルが高く、そこで登場したのが経気管支肺クライオバイオプシーである。

 経気管支肺クライオバイオプシーは気管支鏡で、軟性クライオプローブの先端部が約-45℃の低温になるため、組織を凍結して周囲ごと引きちぎることで組織を採取できます。これにより、通常の気管支鏡では得られない大きさの組織が採取できる。

 国内でも間質性肺疾患の診断目的で経気管支肺クライオバイオプシーを行う施設が増えてきた。欧州ではむしろ気管支鏡による非、経気管支肺クライオバイオプシー(経気管支肺生検)や外科的肺生検の方がむしろ少数派となっているそうです(Respir Res 2018;19:141)。
いずれ、日本もこれに追随し、、経気管支肺クライオバイオプシーが外科的肺生検の代替として位置付けられることが期待されています。

 さて、経気管支肺クライオバイオプシーと現在のゴールドスタンダードである外科的肺生検の間の診断不一致については、基本的には「おおむね経気管支肺クライオバイオプシーでも診断可能」と考えられているが(J Thorac Dis 2017;9:2186-2203)、今回報告されたのは不一致率の高さについてです。(Am J Respir Crit Care Med 2019年3月13日オンライン版)。
 紹介する研究は、同一患者で連続して実施された、経気管支肺クライオバイオプシーと外科的肺生検の間の診断不一致、両処置の診断精度、多面的診断(MDD)決定の変化について調べることを目的として行われた研究です。多面的診断は基本的に主治医、病理医、放射線科医が合議で決定する総合診断になるが、小さな検体ではこの一致率が低く、大きな検体であるほど一致率が高いとされております。
つまり、最終的な多面的診断に一番影響するのは、病理学に他ならない。ただ、進行速度や臨床的な判断から主治医がこの疾患であると総合診断することもあります。

 本研究は、初回多面的診断で胸部HRCT上、非definite UIPパターンと診断された間質性肺疾患患者の、2施設における前向き研究である。経気管支肺クライオバイオプシーを行われた患者が、速やかに胸腔鏡による外科的肺生検を同一の解剖学的部位で実施されました。
 施設の病理医による両検体の検鏡および2回目の多面的診断で最終診断された後、匿名化された、経気管支肺クライオバイオプシー・外科的肺生検スライドが外部専門家病理医によって盲目的に評価された。これにより、κ一致係数および%一致率が、、経気管支肺クライオバイオプシー vs. 外科的肺生検、2回目多面的診断 vs. T、経気管支肺クライオバイオプシー、2回目多面的診断 vs. 外科的肺生検において比較検討されたのである。

 特に、経気管支肺クライオバイオプシーと外科的肺生検に関していえば、一致率が高ければ高いほど理想でありますが、その結果がこちらの予想に反しておりました。
結論から申し上げますとかなり低い一致率でありました。
詳細な結果は登録されたのは21例の間質性肺疾患患者。経気管支肺クライオバイオプシーの検体サイズ中央値(長径)は7mm(四分位範囲5~8mm)だった。外科的肺生検検体サイズは平均46.1±13.8mmであり、言わずもがな外科的肺生検の方が大きい。κ一致係数および%一致率は、経気管支肺クライオバイオプシー vs. 外科的肺生検:κ=0.22(95%CI 0.01~0.44)、%一致率38%(同18~62%)、2回目多面的診断 vs. 、経気管支肺クライオバイオプシー:κ=0.31(同0.06~0.56)、%一致率48%(同26-70%)、2回目多面的診断 vs. 外科的肺生検:κ=0.51(同0.27~0.75)、 %一致率62%(同38~82%)と、かなり低い一致にとどまった。想定外の低さである。
 研究者らのアセスメントによれば、もし21例中11例(52%)で外科的肺生検が実施されなかった場合、、経気管支肺クライオバイオプシーは異なる治療をもたらしたと考えられている。
 現時点では、特発性肺線維症(IPF)に対する抗線維化薬がありますので不確実な診断は不確実な治療になってしまいます。今後、疾患を正しく分類して治療法を検討するに当たり、経気管支肺クライオバイオプシーが外科的肺生検の代替としての診断と治療を行うことに疑問を投げかけた報告となりました。

正しい診断というのは本当に難しいのですね。より低侵襲かつ確実な診断方法が標準化されて欲しいものです。今日は長くなってしまいました。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

https://www.atsjournals.org/doi/pdf/10.1164/rccm.201810-1947OC

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