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院長ブログ

コロナウイルス検査を「簡単に」出来るようにするべきか?(2020.03.01更新)

こんにちは。副院長の丸山康典です。

コロナウイルス感染症が世間をにぎわしており、非常に皆さん頭を悩ませているのではないでしょうか?

私自身はコロナ検査を「簡単に」出来るようにしてはいけないとは考えております。

(理由)

1.偽陰性になった人が外出して蔓延を広める

2.検査できる施設に人が殺到し、コロナじゃない人にまで蔓延を広める

3.ここまでリスクがあるのに、コロナと仮に判明しても現状治療方針が変わらない

4.武漢では症状が無くても検査が陽性であっただけで差別を受け、自殺をした人までいる



少し本日は長くなります。しかしできれば当院へコロナウイルスが心配で受診される方は私の考えを知っておいていただければありがたいと思います。

また比較的多くいただく反論意見についても僕の考えを述べようと思います。

食わず嫌いせず、反対だと思っていたとしても、「医師目線ではこういう考え方もあるのか」
くらいの気持ちで最後まで読んで下さると幸いです。

1.偽陰性になった人が外出して感染拡大
​検査の世界には、「偽陰性」という概念が存在します。

これは、
「本当は病気があるにも関わらず、検査では病気がないと判断されてしまう」状態です。

検査には「感度」「特異度」という確率論が存在し、ほとんどの検査でこの「偽陰性」が生じえます。
・感度
本当に病気がある人に検査をして、ちゃんと陽性と判定される確率

・特異度
本当は病気がない人に検査をして、ちゃんと陰性になる確率です。


例えば妊娠検査キットは感度99%、特異度が99%とされております。
一方、PCR検査の感度は30%-50%程度と言われており、偽陰性の症例が沢山出現すると考えられます。


つまり、現状検査を行ったとしても、
「検査で『異常あり』と出た=コロナ感染症」とも言えなければ、
「検査で『異常なし』と出た=コロナ感染症ではない」とも言えないわけです。

「検査で『異常なし』と判定されたけれども実は感染している方」
(=偽陰性の方)が、「あ〜良かった、コロナ感染じゃないんだ」と思い、治るまでずっと仕事に行ったり外出したりして感染が広がります。

偽陰性の方々は、「自分はコロナじゃない」と思い込んでいる分、検査を受けずに「自分はコロナかもしれない」と思っている人よりも、人混みなどに外出しやすくなるでしょう。

この事項については、陽性か分からないと隔離できない!といった反論あるかと思います。
しかし陰性でも感染者はいるし、次の項でも述べるように、検査のために人が集まれば、そこで感染拡大が起こります。
社会的にはそっちの方がよっぽど大問題です。

また偽陰性の人にも外出を控えさせればいい!という反論もあるかもしれませんが、「陰性の人にも外出を控えさせる」という意味なら検査をする必要が最初からありません。

なお、厚労省の現在の推奨は、「風邪症状があったら、外出せずに家で休むこと」です。

厚労省の感染対策が批判されていますが、
この指針は、感染拡大防止のため「検査するまでもなく、疑わしきは全員外出させない」
という手段なので、これについてはある意味一番慎重な対処法です。

簡単に説明すると今回厚労省が出してるこの感染対策は、風邪症状がある人に対して

「検査して陽性だったら休め」よりもさらに厳しい「検査とかいいから、とにかく家から出てくんな、ゴルァ!!」ですからね。
これはかなり厳しい感染拡大予防策と思います。

なぜ外に出ないことが大切かというと気になる方は「スペイン風邪 セントルイス フィラデイルフィア」でお調べ下さい。
公衆衛生学の教科書にのっている医師の間では有名な話があります。
(今回はスペースの影響で割愛しますがいずれブログに記載します)

2.検査できる施設に人が殺到して感染拡大
これは言うまでもなく感覚で分かると思います。
武漢で最初感染が広がり始めたとき、ニュースを見て世間からはそりゃあんなに病院に人が集まったら感染広がるでしょ
という批判の声が出ていました。

なのになぜか、日本にコロナが上陸してからは、世間(マスコミ?)が同じ状況を作ろうとしているのです。

、、、本当の敵はコロナでは無く、コロナの不安を煽るマスコミなのかもしれません、、、

検査をしに行くまでは感染していなかったのに、「検査陰性だった、良かった〜」と検査施設を出る頃には感染しているかもしれないのです。

しかも検査ができる施設といえば、「病院」になるでしょう。
検体採取は陰圧室にて宇宙服のような防護服を着た医師が行っております。
そのため診療所では陰圧室などの設備の準備も出来ず病院での検査にならざるを得ません。

病院には、コロナ感染症が重症化しやすい高齢者や持病持ちの方が多数通院されています。
本来家で休んでいても自然と治るはずだった軽症者が病院に押し寄せると、病院内でこうした重症化のリスクが高い方に感染を広げることは容易に想像がつくでしょう。

そうなると、その病院内における重症化率・致死率は世間よりもかなり高くなるでしょう。

健康な我々が社会の一員として一番すべきことは、「重症化しやすい方々を、感染から守ること」ではないでしょうか?

そのためには、「病院で検査を受けさせろ」ではなく「病院には感染すると危ない人がたくさんいるから、自分はコロナかもしれないけどとりあえず自宅で休んでおこう、コロナじゃなかったとしても病院行くことでコロナもらうかもしれないし」が一番の感染対策です。
「自分の行動一つで人の命を奪うかもしれない」という気持ちを持ち、「一番感染を広げない手段は何か」を考えていただけると幸いです。


3.これだけリスクが高いのに、コロナと判明しても治療方針が変わらない

①.アビガンがあるじゃないか!という反論があるかと思います。
「アビガン」は新型インフルエンザ治療薬であり、新型コロナウイルス感染症に効果がある「かもしれない」薬です。

我々医師は、「この薬をこの患者さんに投与して得られるメリットは、副作用などのデメリットを上回る」と判断した場合にのみ薬を投与します。
アビガンに関して言えば、また人類でこの薬を投与された人はごくわずかですし、長期の安全性などはわかりません。
まだはっきりとしたデータが示されたわけではないのです。

多くの方が風邪症状のみで自然治癒する病気に対して、効果がある「かもしれない」くらいの現状で、
副作用も懸念せず、安易に「投与すべき」とは僕は思いません。


②.コロナと分かれば隔離させないといけないだろう!という反論もあるかと思います。
そもそも検査をする前から、症状が出た時点で外出を控えて休むべきなのです。
しかも前述のように、「検査で陽性の場合、どれくらいの確率で本当にコロナなのか」
すら分からない状況です。検査しても感染しているか感染していないかが分からない以上、その「陽性」に大きな意味はないのです。

③.早期に検査で感染が分かることで重症化を予防できるだろう!
残念ながら診断がついていたとしても重症化の予防は現状できません。

我々医師は魔法使いではありません。
治療薬がない状況で、どうやって重症化を予防しようと言うのでしょうか?

重症化した方についても、我々医師ができるのは全身管理のみで、コロナウイルスに特異的な治療がない以上、「身体がウイルスを退治してくれるのを待つ」しか出来ないのです。

インフルエンザは気軽にできるのにコロナはダメか!という批判もでるでしょうが、本来ならインフルエンザの場合も同じ対応をすべきなのです。

強いて言えば、今回のコロナウイルスとインフルエンザでは、「特異的な治療薬があるか」という点で異なります。

インフルエンザは診断がつけば、タミフルをはじめとする特異的な抗ウイルス薬が使用可能です。
タミフルなどの抗ウイルス薬を早期に患者さんが服用すればその家族などの2次感染を予防できます。
そういう意味では診断をつけると「治療方針に影響する」ので、診断価値があるとも言えます。

それが、今回のコロナウイルスでは「検査をしてもしなくても経過観察しかない」
「そもそも検査しても陽性・陰性がそのまま100%感染・非感染を示すものではない」
という点が大きく異なります。

実際にCTなどでコロナ肺炎の疑いがある方などの重症例に対しては、原因究明のためコロナ検査をする必要はあると思います。「検査が全くできないまま」だと非常にまずいという点に全く異議はありません。

ただし、あらゆる検査希望の方に「簡単に」出来るようにするのは本当に検査が必要で治療方針に影響を与える患者さんをの検査が出来なくなります。コロナウイルスの潜在患者数はかなり多いという説もあり、いくら安倍首相がPCR検査体制を整えるとはいえ、それも追いつかないと思われます。

症例を例示します。フィクションです
<症例A>
70歳男性。既往に心不全あり、コロナウイルス陽性肺炎患者との接触歴なし。
呼吸困難を主訴に病院へ受診。数日前に感冒症状に対して市販薬服用

酸素投与最大投与量で酸素飽和度89%。両側CTにて異常影あり。
尿中肺炎球菌抗原、レジオネラ抗原、インフルエンザ迅速検査 全て陰性、呼吸管理のため人工呼吸器が装着された。
画像所見からは心不全による肺水腫かウイルス性肺炎の可能性が示唆された
現場では一刻を争う事態です。

この時コロナウイルスPCRが陽性→アビガンなどの投薬を考慮
コロナウイルスPCR陰性→感冒薬による薬剤性肺炎や間質性肺炎の鑑別を急ぐ

このように一刻も早く投与すべきかどうかを判断するようために至急で検査が必要な例もあります。
一方別の症例も提示します。
<症例B>
40歳代男性。特記すべき既往なし。コロナウイルス陽性肺炎患者との摂食無し
発熱の症状の為病院へ受診。酸素投与無しでSPO2 97% 、聴診では呼吸音に異常なし。
尿中肺炎球菌抗原、レジオネラ抗原、インフルエンザ迅速検査 全て陰性
このような例の場合、
コロナウイルスPCRが陽性→全身状態も安定しており、自然回復するか慎重に経過観察のみ
コロナウイルスPCRが陰性→全身状態も安定しており、自然回復するか経過観察のみ
となります。

症例Aは症例BよりもPCR検査が優先されるのは明白です。
また症例Bは病院へ受診し、コロナウイルス陽性であれば外出することで周囲への感染を起こし、コロナウイスル感染症で無ければ病院という、感染を起こしうる場所に足を踏み入れたということになります。

この症例AとBが同時に病院へ受診したことを考えてください。現在政府の勧告している感染拡大防止のため「検査するまでもなく、疑わしきは全員外出させない」というのがいかに理にかなっているかということであります。

4.武漢では症状が無くても検査が陽性であっただけで差別を受け、自殺をした人までいる
恐らく日本はいずれ中国の武漢に近い状態になってもおかしくはありません。堺市の医師会経由ではこの近隣ではまだ陽性者が出ておりませんが、近い将来このエリア北海道のように外出の自粛が求められるかもしれません。
武漢では何も症状が無かったのに、心配になって検査を行い陽性であるために差別を受け自殺をして若い命を絶ってしまった方もいます。もしこの記事を読んでいる方で知人や友人がコロナウイルス検査で陽性になったとはいえ、その方を差別して傷つけることはしないようにしてもらえれば幸いです。


●終わりに
最後に、大きな問題として、日本の職場は風邪程度では休ませてくれないところが多いのも事実です。

しかし、そもそも会社のその姿勢がおかしいのであり、「診断書=免罪符」となっている今の状況は一番まずいです。
ちょうど昨年有給休暇の取得が義務化されました。今回の新型コロナウイルス感染症を契機に、日本の働き方が根本から変わるようになれば良いなと思います。


新型コロナ感染症に対しても、私自身が感じたことを書いてみました。
私自身を信用しなくても構わないので、様々な情報に触れて、「自分がどう考えるか、そして自分がどうするのが自分や自分の周りの人を守るのか」を考えてほしいと思います。

長い文章になってしましましたがここまで読んでいただいてありがとうございました。

 

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